タイのチェンマイには「首長族」と呼ばれる少数民族に会える場所があります。
本来はミャンマーに暮らす民族ですが、難民化してタイ北方に流入しているそう。
その一部の方々に会うことができる観光村がチェンマイ郊外にありました。
旧市街から車で30分と訪れやすく、チェンマイ観光の目玉の一つにもなっています。
この記事では、実際に村を訪問した際の様子やアクセス、料金などをレポートしていきます。
首長族とは
首長族とは、東南アジアのミャンマーとタイの一部に居住している民族で、女性は首に金色の真鍮リングを付ける風習があります。(男性が付ける風習はない)
あくまで一部だけなので、すべての女性の首が長いわけではないとのこと。
また、実際には首が長いわけではなく、リングの重みで肩が極端に下がっているため、首が長く見えるのだそう。
正しくは「めっちゃなで肩族」ということですね。
首長族(Long neck People)という名称で世界的に知られていますが、これはあくまで観光誘致を目的とした通称にすぎません。
彼らが自身の民族を呼称する際は「カヤン」と言い、その総人口は30,000~40,000人程度とされています。
ただし、どこまでがいわゆる「首長族」なのかはっきりせず、実数はわかっていないのが実態。
色々と謎の多い民族なのですね。
タイにおける首長族の村の成り立ち
首長族は、少数民族であるカレン族の一部とされていて、本来はミャンマーの山岳地帯に暮らしていた民族でした。
しかしながら、近代以降のミャンマーでは政府軍と少数民族とのあいだでの抗争や、ミャンマー国内での人権侵害によって、住む場所を追われて難民化した人々が数多く存在しているのです。
そうした難民の一部は、隣国であるタイの北方県に流入しているのだそう。
そのような故国で安住できない状況下で、首長族は観光業者に手引きされ、特例でタイ北部のメーホンソーン県やチェンマイ、チェンライといった一部のエリアで観光村を営んでいます。
実際、首長族の興味深い歴史・文化・風習から、彼女たちは多くの観光客を惹きつけてやみません。
その一方で、観光村というシステム自体には「人間動物園」であるという批判もあり、自分たちを見世物にして観光収益を得ることでしか生計を立てることができない、厳しい環境に置かれている人々でもあります。
一観光客の立場で何ができるわけでもありませんが、彼女たちの境遇について多少なりとも理解はしておきたいですね。
首長族の村へのアクセス
観光村化している首長族の村はタイ王国のメーホンソーン県およびチェンマイ県、チェンラーイ県にあります。
今回はチェンマイ旧市街から北に車で30分ほど行ったところにある首長族の村へ行ってきました。
チェンマイには電車がなく帰り道が心配になりますが、そんなときはタクシーやソンテウ、トゥクトゥクを貸し切るというのがおすすめ。
自分の行きたいスポットだけを巡るカスタマイズ旅にすることができます。
チェンマイ旧市街の主要な寺院の周りにはだいたいソンテウが待機していますので、ドライバー(たいていソンテウから降りて客引きしている)に声をかければ交渉可能。
ボクはワット・チェディルアン前でソンテウおじさんを捕まえ、チェンマイ郊外の観光地を巡るルート(首長族の村 → タイガーキングダム → 射撃場333)で往復300バーツにて交渉成立しました。
ボクがソンテウおじさんを捕まえた寺院はこちら↓↓↓
ソンテウチャーターで巡るチェンマイおすすめスポットはこちら↓↓↓
首長族の村へ入ってみる
ソンテウおじさんは首長族の村の入り口まで連れて行ってくれます。
チェンマイ観光の目玉のひとつと化しているので、案内も手慣れた様子。
ちなみに入り口といっても大げさな建物があるわけでなく、上の写真の小屋が受付です。
入場料は500バーツ(日本円で約1,700円)と割とお高め。
領収書代わりにチケットをもらいますが、この後使うことはありません。
村へ続く道を歩いていくと、左右にお土産屋が連なっています。
ですがこれ、首長族のお土産屋さんではありませんのでご注意を。
ここにいるのはモン族という、首長族(カレン)とはまったく違う民族です。
彼らも固有の歴史があり、戦争にまつわる悲劇も体験している民族ですが、首長族だけに関心がある場合はスルーしたほうが良いかも。
強引にお土産を売り付けられるようなことはありませんが、静かに見つめられるので立ち去り辛くなりました……。
モン族のお土産ゾーンを通過すると首長族の村まで一直線。
木々に囲まれた道を数百メートル歩くと、高床式のような造りの建物群が見えてきます。
こちらが首長族の村。
チェンマイでは観光に不向きとされる雨季の5月に訪れたこともあってか、他の観光客の姿はほとんどありませんでした。
首長族の女性たちに出会う
村の中は色とりどりの鮮やかな織物がところ狭しと掲げられています。
その他にもタイをモチーフにした雑貨などが軒先に並べられていました。
この村は観光収益で成り立っているので、村内にあるのはほぼすべてお土産屋さん。
見てみた限りではそれほど生活感はなかったので、実際に彼女たちが生活している場所は別にあるのかもしれませんね。
初めに出会った首長族の女性がこちら。
多少の英語は通じたので、少しお話ししてみました。
どうやら村内で販売している織物は首長族の女性による手製だそう。
たしかに彼女も見かけたときは機織りをしていました。
話を聞いてそのまま去ろうと思いましたが、「写真はいいのか?」と彼女から声を掛けてくれました。
年中観光客が訪れるためか、対応に慣れを感じました……。
村内には小さな女の子もいました。
子供なので、まだ首に付けている金色のリングも少ないですね。
ちなみに、こういったお土産屋さんで売っているものの多くは、チェンマイ旧市街やニマンヘミン通りといった、チェンマイ主要エリアでも手に入るものが多いです。
織物は間違いなくこの村で彼女たちが織っているものだったので、ボクも一枚購入していきました。
首長族の村の基本情報
住所 | Unnamed Road, Tambon Mae Raem, Amphoe Mae Rim, Chang Wat Chiang Mai 50180 |
入場料 | 500TB(約1,700円) |
複雑な歴史と興味深い風習を持つ首長族のことは、テレビやネットの世界では知っていましたが、実際に会うことができてとても感慨深かったです。
一方で、タイ国内では難民扱いの彼女たちは、法律で就労が許されておらず、生計を立てるために観光村を営んでいる境遇にあります。
決して卑屈であったり、観光客に媚を売っているわけではありませんが、もしかしたら本来は望んでいない生活を強いられているのかもしれないな、と思って考えさせられますね。
少し考えさせられましたが、間違いなく彼女たちに出会うことができてよかったと思う訪問になりました。
皆さんもチェンマイ郊外の観光スポットを巡る際には、首長族の村にも足を運んでみてくださいね!
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