高遠そばとは
長野県伊那市のあたりでは、まだ長野で鰹や昆布、しょうゆといった食材が手に入らなかった時代から、大根のしぼり汁に焼き味噌を入れた「辛つゆ」を作り、それをそばのつけづゆにして食べていたそうです。
現在はその「辛つゆ」に通常の「そばつゆ」も足して食べることが多いようですが、「辛つゆ」だけで食べるのが高遠そばのオールドスタイル。
福島県名物!?高遠そば
高遠そばというと、福島県会津地方の名物として紹介されることが多いです。
高遠(たかとお)と言えば桜の名所「高遠城」がよく知られた長野県の地名。
それなのになぜ福島県に「高遠そば」があるのかと言うと、かつて高遠藩主であった保科正之の影響があるのです。
保科正之は高遠藩主時代、大根のしぼり汁に焼き味噌を加えたそば切りを気に入り、のちに会津藩へ国替えになった際にその文化を持ち込んだとのこと。
それが現在の福島県で根付き、名物にまでなりました。
高遠そばの復活
実は長野県高遠町の高遠そばは、発祥の地であるにもかかわらず途絶えてしまっていました。
というのも、諸説はあるものの、信州そばの発祥の地でもあるという高遠では、そばはあくまで家庭料理。
そのため商売としては成り立たず、長いこと「そば屋」が存在しなかったのです。
保科正之の縁もあり姉妹都市である高遠町と会津若松市。
1997年(平成9年)、高遠町が会津若松市を視察した際に、福島名物となっている「高遠そば」を見て逆輸入することに。
実は高遠町で「高遠そば」を売り出したのは最近なのです!
壱刻(いっこく)のアクセス
壱刻(いっこく)は高遠町のメインストリートにあたる信州伊那アルプス街道沿いにあります。
桜の名所として名高い「高遠城址公園」からは一本道で、車であれば3~4分の距離なので観光帰りにも立ち寄れますね。
駐車場はお店と道路を挟んだ反対側にありました。
ちょうど上の写真の赤丸のあたり。
無料で利用できますが、停められる台数はそれほど多くなかったです。
同じくお店の反対側にはJRバスの高遠駅がありました。
JR飯田線「伊那市駅」からのバスでここまで来ることができます。
こちらが壱刻です!
引きで撮れなかったのでわかり辛いですが、歴史を感じる立派な外観でした。
入口にあるメニュースタンド。
店内の雰囲気&そばを注文
店内はこじんまりとしており、全部で20席くらいしかありません。
休日のお昼時などは混みあうのかもしれませんね。
ボクは土曜の14時すぎだったこともあり、他に1組いるだけでした。
席に着くと、メニューブックを持ってきてくださいます。
おそばは月ごとに提供されるものが違うらしく、このときは4種類からそばを選ぶことができました。
二八と十割どちらも用意されており、挽き方・打ち方はもちろん、使われるそばの品種もさまざまなので迷います……。
今回はせっかく高遠まで来ているので、どうせならと高遠産100%の十割そば「丸」を頂くことに。
麺を選んだら、次は食べ方を選ぶことができます。
GWなどの混雑時期には時間のかかる温かいおそばはできないようですが、それでも十分なほどいろいろな食べ方がありますね。
上の写真の真ん中にあるイタリア&フランスの調味料を使用した「オーリオ サーレ」というのも気になりましたが、ここは高遠。伝統の高遠そばを味わうべく、メニュー一番右の「高遠」を選択しました。
一味違う!高遠そばを実食
まず到着したのが高遠そばのつゆセット。
大根のしぼり汁&焼き味噌にネギといった定番に加え、一般的なめんつゆもあります。
そばが来るまでにつゆを作りましょう。
高遠伝統のスタイルで味わうべく、大根のしぼり汁に焼き味噌を適量加え、お好みの量のネギ・大根おろしを加えます。
間もなくそばも到着!
これで普通盛りなので、しっかり食べごたえのある量ですね。
そばの風味をしっかり感じられる大変おいしいおそばでした。
ちなみに食べ方の解説もメニューブックに記載されていました。
普通のそばつゆを後から足して、味を変えて楽しむこともできます!
おまけに五平餅も!
蕎麦屋さんらしく、そばを使ったデザートやお酒もありました。
そのなかでもそばの実入りの五平餅(ごへいもち)にそそられてしまい……
ついつい追加で頼んでしまいました(笑)
五平餅はこの高遠も含む中部地方の山間エリアで親しまれてきた郷土料理。
本場ということもあり、これまた美味でした。
壱刻の基本情報
住所 | 〒396-0211 長野県伊那市高遠町西高遠霜町1696 |
電話番号 | 0265-94-2221 |
公式HP | http://www.takato-ikkoku.com/index.html |
営業時間 | 11:00~15:00(ラストオーダー) ※ただし、売り切れしだい終了 |
定休日 | 毎週水~金 ※冬季休業:1~3月 |
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