「台湾の京都」とも呼ばれる台南には、台湾開拓の英雄・鄭成功にまつわるスポットが数多くあります。
お土産やキャラクター化されるほど大人気!
今回はその数ある関連スポットの中でも、鄭成功自身を祀る廟「延平郡王祠」へ行ってきました。
建造物は再建されたものが多く、歴史的価値は他の寺院と比べることはできないかもしれませんが、何より台湾人の鄭成功に対する敬愛の気持ちを感じることができる場所でした。
廟内の様子に加えて、アクセスや見どころ、営業時間などもお伝えしていきたいと思います。
延平郡王祠とは
「延平郡王祠(えんぺいぐんおうし)」とは、開台聖王こと鄭成功を祀る祠のことで、「開山王廟(かいざんおうびょう)」とも呼ばれます。
1662年、志半ばながら台湾の解放、発展に大きく貢献した鄭成功が逝去すると、彼を偲ぶ人々により、当時台湾の中心地であった台南に創建されました。
時代は下り、1874年、清朝の役人・沈葆楨によって福州式建築の新しい祠に建て替えられ、彼の奏請によって「延平郡王祠」と改名されることとなります。
台湾が日本統治下に入った後の1896年(明治29年)には、日本人の血も引く鄭成功を祭神としたまま、「開山神社」と改称。
神社時代には日本式拝殿も築かれるとともに、中国風の祠も本殿としてそのまま残され本殿とされましたが、第二次世界大戦後に中華民国政府により鉄筋コンクリート製の廟に建て替えられました。
この時の建て替えにより、延平郡王祠は古蹟としては認められず、史跡とされることに。
建築物自体は新しくなっていますが、今も昔も台湾人が敬愛する鄭成功の廟として大事にされています。
延平郡王祠へのアクセス
台南駅から延平郡王祠を訪れる場合、徒歩で約15分程度かかります。
涼しい季節はともかく、気温の高い時期にはかなりしんどい道のり……。
とはいえバスで行こうと思うと、待ち時間を含めると30分以上は見ておく必要があり、時間に限りのある旅行者向きではないでしょう。
台湾のタクシーは日本と比べて安いので、思い切って駅前からタクシーを使う方が楽かもしれません。
延平郡王祠のすぐそばには、台南市で普及しているレンタサイクル「T-Bike」の停車場があります。
台南駅前ロータリーの近くにも停車場があり、外国人観光客でもクレジットカードを使ってレンタルすることが可能。
台南ののどかな街並みを眺めながら、自転車で移動するのも良いですね。
ただし、台南の車の運転は台北と比べても荒い傾向にありますので、くれぐれもご注意ください!
巨大な鄭成功像がお出迎え!
どのルートで向かうかによりますが、府前路から開山路に入るように延平郡王祠を目指すと、上の写真のように鄭成功の騎馬像が迎えてくれます。
別のルートからでも見ることはできるものの、やはりこれはまず正面から見ることをおすすめします!
写真では分かりづらいですが、この騎馬像はかなり巨大。
高さはなんと7mもあるそうです。
この像には中国の泉州で採れる「泉州白」という花崗岩が使われており、台南市と泉州市の交流の象徴でもあるのだとか。
延平郡王祠を見学
騎馬像を横目にさらに開山路を進むと、鮮やかな朱色に彩られた「大門」が見えてきます。
大門と言っても文字通りの出入り口としては機能しておらず、独立した建造物になっていました。
大門を正面から見るとこんな感じ。
門に掲げられた額には「明延平郡王」とありますね。
敷地内には延平郡王祠の各所から入ることができますが、せっかくなので大門を通って中へと進みます。
鄭成功文物館
大門をくぐってすぐ左手には「鄭成功文物館」がありました。
この文物館は昭和7年(1932年)、「安平古堡」内に創設された「台湾史料館」が前身ですが、「赤崁楼」を経て、1963年に延平郡王祠へ移設されたそうです。
2003年に改修・再整備がなされたらしく、外観はとっても近代的。
ボクはスケジュールの都合で立ち寄れませんでしたが、入館料はかからないようですので、時間があればぜひ覗いてみたいスポットですね。
ちなみに営業は火曜日〜日曜日の9:00〜17:00とのこと。
日本式の石鳥居「牌坊」
こちらの石でできた鳥居風の建造物は「牌坊」と呼ばれる、日本統治下の開山神社時代の名残り。
日本式の鳥居を改築してそのまま残しているんですね。
牌坊周りに生えている木々にはなぜかリスが生息しています。
写真だと分かりづらいですが、木の枝を伝って走り回っていました。
こちらの写真の方が少しわかりやすいかも。
少なくない数のリスが敷地内を走り回っていましたが、街中にある延平郡王祠で彼らはどうやって生活しているのでしょう……。
延平郡王祠の正殿へ
石鳥居の牌坊をくぐり、中国式の「三川門」を抜けると、延平郡王祠の正殿があります。
正面に見えるのが正殿で、その左右には回廊のような建物があります。
再建されたものとはいえ、かつての華やかさを今に伝える貴重な空間。
三川門をくぐるまでは周囲も騒がしかったのですが、別世界のように厳かな雰囲気でした。
台湾の開拓・守護に功のあった武人も一緒に祀られていました。
中華圏の寺や廟は色彩が華やかでありながら、細工は繊細で見応えがありますよね。
正殿の軒下もこのように美しい装飾がされていました。
こちらが正殿内。
明延平王の額がある通り、鄭成功の像が鎮座していました。
この像は著名な彫刻家である楊英風によって作られたもの。
容姿端麗だったとされる鄭成功の、涼やかでありながら威厳ある様子が表現されているように思いました。
金門島池
正殿から見て左側には庭園と大きな池が広がっていました。
この池は「金門島池」と言い、1661年、鄭成功が台湾を支配したオランダ人を打ちはらう際、金門の料羅湾から出陣した史実を記念して作らせたそうです。
平面で見た時には気がつきませんでしたが、この池は金門島の形を模しているとのこと。
前情報無しでは絶対に気がつけない細工ですね……。
延平郡王祠とは道路一本挟んだ反対側には、台湾最古の安産祈願の廟「臨水夫人媽廟」があります。
こちらも見どころの多い廟なので、合わせて足を運ぶのがおすすめ。
延平郡王祠のまとめ
延平郡王祠は、台湾で今も深く敬愛される英雄・鄭成功を祀っているだけあり、人が絶えず訪れている廟。
建てられてから何度も名前が変わるなど、時代に翻弄された感もある廟ではありますが、それでも大事にされ続けている様子を伺うことができました。
アクセスはあまりよくありませんが、台湾の文化を知るという意味ではとても有意義な史跡なので、間違いなく足を運ぶ価値があると思います。
延平郡王祠のまとめ ※ボクの主観での評価です
- ロケーション 台南駅から少し歩く必要あり
- 一人でも楽しめる? 一人のほうが雰囲気を感じられるかも
- 満足度 当時の建物は残っていないが、見る価値は十分
- 日本語 日本語パンフあり
延平郡王祠の基本情報
住所 | 700台南市中西區開山路152號 |
電話番号 | +886 6 213 5518 |
営業時間 | 8:30〜17:30 ※鄭成功文物館は月曜日定休&9:00〜17:00 |
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