5月末、梅雨ど真ん中の沖縄本島を旅行してきました!
沖縄県内には300ものグスクが存在するとされていますが、世界遺産に選ばれているグスクは首里城も含めて5つ。
勝連城跡は、その中でも最古のグスクであり、勝連の繁栄の象徴でもあったロマン溢れるお城でした。
あいにくの悪天候ではありましたが、それでも足を運ぶだけの価値があると思います!
この記事では、勝連城跡の見どころやアクセス、駐車場、見学にかかる所要時間や雨天観光時の注意点をご紹介していきます。
勝連城跡とは
勝連城跡(かつれんじょうあと)は12〜13世紀頃に建てられた、沖縄の世界遺産の中では最古のグスク。
5つの曲輪からなる比較的大きなグスクであり、最も高い一の曲輪に上がると、北は金武湾を囲む山原(やんばる)の山々や太平洋の島々が望まれ、南は知念半島や中城湾を一望できる景勝地でもあります。
15世紀には10代目勝連按司である城主・阿麻和利のもと、海外貿易で大いに繁栄し、本土の京都や鎌倉にも例えられるほどの最盛期を迎えました。
ちなみに阿麻和利のライバル、護佐丸の居城「中城城(なかぐすくじょう)」は中城湾を隔てたところに位置しているので、阿麻和利の一挙一動を監視していたということなのでしょう。
勝連の繁栄ぶりは琉球王府にとっては脅威だったようですね。
1972年、勝連城跡は沖縄の本土復帰にともない国定史跡に指定、2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されることになりました。
2017年には続・日本100名城(200番)にも選定され、歴史好き、城好きにとっても必見のグスクだと言えると思います。
阿麻和利は、圧政を敷いた9代目勝連按司の茂知附按司に対して謀反を起こし、10代目按司となりました。
国際貿易を積極的に行い、勝連地域と勝連城の最盛期を現出させた一方で、その力を警戒され、1458年には琉球王に抵抗して滅ぼされてしまいます。
琉球王国の歴史書では「阿麻和利=逆臣、悪人」として位置付けられていますが、民衆からは敬われていたようです。
16〜17世紀頃に編纂された沖縄最古の民謡集「おもろさうし」には、勝連に繁栄をもたらした阿麻和利を讃える歌謡が多く残されており、勝連の民衆にとって「阿麻和利=名君」だったのかもしれません。
琉球王にとっては悪人、民衆にとっては名君という二面性を見せた阿麻和利は、今でも評価が分かれる存在ですが、地元では英雄として扱われている人物です。
勝連城跡へのアクセス
勝連城跡はうるま市・勝連半島の付け根部分に当たる場所にあります。
沖縄本島では南部として括られることが多いうるま市ですが、南部の中では北端になり、那覇空港から車、路線バスのどちらを使ってもアクセスに1時間以上はかかります。
うるま市には勝連城跡以外にも、綺麗な海を見ながらドライブができる「海中道路」や、伊計ビーチ、浜比嘉島などの見どころがあるため、上手く周遊プランにしてしまえると時間効率を上げられますね。
うるま市観光物産協会HPにモデルコースが紹介されているので参考に!
ボクは海中道路ドライブ&海中茶屋でお昼ご飯を楽しみました!
車・レンタカーの場合
那覇空港から勝連城跡を目指す場合、沖縄自動車道を利用して所要時間50分〜1時間半といったところ。
那覇空港から那覇市内の道など、ところどころ渋滞があるため、時間帯や時期によってかかる時間はある程度ブレると思います。
余裕をもったスケジュールを組んでおく必要がありますね。
勝連城跡には無料で普通車は125台も停められる駐車場がありますが、勝連城跡からは少し離れた「あまわりパーク歴史文化施設」に併設されています。
うるま市街から勝連城を目指すと「あまわりパーク」が手前にあるのですが、ボクも気が付かずに通り過ぎてしまい、反転する羽目になってしまいました。
バスの場合
路線バスを利用する場合、まずは那覇空港から市内にある那覇バスターミナルへと移動。
那覇バスターミナルから沖縄バス52番(与勝線 [久茂地経由] 屋慶名バスターミナル行)に乗車すれば、そこからは乗り換え無しで勝連城跡のそばまで行くことができます。
ここで注意点がひとつ!
下車するバス停は「勝連城前」ですが、チケット購入のためには少し来た道を戻らなければいけません。
勝連城跡前で降車後、勝連城跡方面とは逆側に少し坂道を下るように戻ったところにある「あまわりパーク歴史文化施設」で入場券を購入する必要があるためですね。
勝連城跡の営業時間・料金・駐車場
勝連城跡を見学するには「あまわりパーク歴史文化施設」でチケットを購入する必要があります。
あまわりパークに入ってすぐのところに券売機がありますので、まずはそちらでチケットを購入しましょう。
勝連城跡の見学料金
大人 ※高校生以上 | 600円 |
小人 ※中学生以下 | 400円 |
勝連城跡のチケットにはあまわりパークの常設展見学も含まれています。
ちなみにあまわりパークの営業時間は9:00〜18:00で、勝連城跡の見学可能時間とイコールですが、チケット購入できるのは17:30までとなります。
無料駐車場は18:00まで利用できますよ!
あまわりパークの常設展は必見!
チケット購入のために立ち寄る必要があるあまわりパークの歴史文化施設ですが、実はこの中にも見どころがあります。
2021年10月にオープンしたばかりの真新しい施設で、館内にはうるま市の観光パンフレットが豊富に置かれていたり、綺麗なトイレ、コインロッカーなども用意されています。
うるま市では、勝連城跡を中心として周辺エリアを整備していて、将来的には公園や飲食・物販施設、ホテルなどもできる予定なんだとか。
この後ご紹介する勝連城跡だけでも見応えは十分でしたが、数年先にはより一層魅力的なスポットになりそう!
施設内には常設展があり、壁一面の大きなライブスクリーンでは勝連城と阿麻和利の歴史をわかりやすく紹介してくれるアニメーションが放映されています。
まずここで予備知識を入れてから勝連城跡へ行くのがおすすめ!
スクリーン前にはシートも用意されているので、休憩がてらアニメーションを観ていくことができます。
かつての勝連城の姿を再現したジオラマは見応え抜群!
15世紀頃の生活様式やお城の様子が細かい部分まで再現されていて、大人でも楽しめるクオリティです。
文化財の展示はそれほど多くありませんでしたが、勝連城の繁栄から滅亡までの歴史がわかりやすく解説されていて、大人から子供まで楽しむことができると思います。
勝連城跡を巡る
あまわりパークから勝連城跡まではさほど離れていませんが、登り坂になるため電動カートで送迎してもらうことが可能。
雨の日はカート自体にビニールカバーをかけて運行されていて、移動中に濡れてしまう心配はありません。
勝連城跡には雨をしのげる場所がないので雨具は必須ですよ!
電動カートで勝連城跡の四の曲輪まで連れてきてもらうことができます。
カートを降りると勝連城跡を見上げるかたちに。
ここから三、二、一と曲輪を上がっていくにつれて見晴らしもよくなっていきますが、他にも各所に見どころが点在しています。
それらも含めてゆっくり見て回ると、所要時間は30~45分程度は見ておいたほうが良いでしょう。
見どころ①:占いの井戸と縁結びの井戸
四の曲輪には二つの井戸が存在します。
開けた斜面にある「ウタミシガー」は、旧暦の正月に水量を見てその年の作物の出来が占われたという「占いの井戸」でした。
水が少ないと豊作、水が多いと凶作と判断されたそうです。
四の曲輪にあるもう一つの井戸「ミートゥガー」は、斜面に生えた木の根元に設けられています。
ミートゥガーはここで恋が成就すれば永遠の関係が約束されるという縁結びの井戸。
一方で、ここで恋物語をしてはいけないという言い伝えもあるそうです。
ここで結ばれた男女が別れると、そのどちらかに不幸があるということですが、縁結びとまったく真逆の言われがあると困ってしまいますね。
見どころ②:三の曲輪と神人の座石
四の曲輪から三の曲輪までは傾斜はそれなりにキツいものの、舗装や階段がしっかりしているので安心。
雨だと滑るので履物はスニーカーなどがおすすめですが、それほど無理なく登れます。
座喜味城などもそうですが、沖縄のグスクは本土の城と異なり、城壁に曲線が取り入れられていることが多い気がします。
もちろん防御性能を高める理由からでしょうが、本土の城の直線的な形状と比べて優美な印象がありますね。
四の曲輪からの階段を登りきると三の曲輪です。
上に上がるにつれて面積が狭くなっていきますが、三の曲輪は儀式などを行うことに使われていたと考えられており、比較的広く平坦な敷地が広がっています。
四の曲輪から三の曲輪へと至る部分には、かつて城門が設けられていました。
城門と言っても敵を防ぐ頑丈な門というわけではなく、四脚門(あるいは薬医門)と呼ばれる様式の小ぶりな門だったようです。
有名なところでは東大の赤門も同じ薬医門ですね。
三の曲輪に唯一生えている木のそばには「肝高の御嶽(きむたかのうたき)」があり、神人(かみんちゅ)と呼ばれた女性祭司によって行われる儀式の拝所となっていました。
麦と稲の豊作を祈る大事な年中行事だったようです。
御嶽のそばには神人たちが腰掛けるための座石が残されています。
地面に埋め込まれただけの石の列にしか見えませんが、600年以上前にここで儀式が行われていたのだと思うと、不思議と神聖な場所のように感じられました。
見どころ③:二の曲輪の舎殿跡
二の曲輪は三の曲輪から10段も無い小さな階段を上っただけの部分にあたります。
ここだけではありませんが、勝連城跡の階段はよく見ると平坦ではなく、段差の上る方向から見て手前側が低くなるよう傾斜がついています。
戦争時に敵が上りにくくするという軍事的な理由と、城内の水はけを良くするという生活の知恵が合わさった工夫だそう。
二の曲輪には勝連城で最も重要な建物(舎殿)が建てられていました。
当時としてはかなり立派な建物が建てられていたと考えられ、その造りは首里城にも似たものだったようです。
周囲から瓦が出土していることから舎殿は瓦葺きの建物だったようで、勝連の繁栄の証明にもなっています。
舎殿の裏には台所跡とされる「ウミチムン(火の神)」があります。
ウミチムンは「三個のかまど石」という意味の言葉で、古来から琉球で信仰されてきた「火の神(ひぬかん)」を祀っていた場所でもあります。
現代でも、沖縄の家庭では「ひぬかん」を祀って家内安全を祈願する風習が残っているそうです!
ウミチムンの隣には、木々に囲まれた中に開いた洞穴「ウシヌジガマ」があります。
天災や戦のときにはここに身を潜め、難を逃れたと言われています。
ウシヌジガマは一の曲輪にある「玉ノミウヂ御嶽」と繋がっていたとも言われており、勝連城滅亡の際に城主・阿麻和利はここを通じて脱出、読谷村まで逃げ延びたという伝説も残っているそう。
見どころ④:一の曲輪からのオーシャンビュー
一の曲輪は勝連城跡で一番高い場所にあたり、二の曲輪から階段を上ってアクセスします。
上の写真では少し分かりづらいですが、一の曲輪へ近づくにつれて階段の横幅が狭くなっていました。
これは敵兵が一度に攻め寄せられないようにする工夫だったとされており、ここが勝連城の最後の防衛ラインだったのでしょう。
こちらが一の曲輪です。
標高約100mと勝連城が建つ丘の最上部にあたり、周囲を360度見通すことができるようになっていました。
二の曲輪ほど大きな建造物はなかったようですが、海外交易で得られたであろう遺物が見つかっていることから、宝物殿のようなものがあったと推測されています。
この日はあいにくの悪天候でしたが、一の曲輪からははるか海上までを見通すことができます。
目と鼻の先の中城湾やその先にある宿敵・護佐丸の城「中城城」も望むことができ、勝連城は貿易・軍事の両面において重要拠点だったことでしょう。
晴れている日なら海面がエメラルドグリーンに輝く絶景が見られますが、雨の中でも十分に見る価値のある光景だったと思います!
ごつごつとした無骨な雰囲気の石垣は本土の城ではあまり見かけない気がします。
自然石ゆえに尖った部分も多く、むやみに手を触れると怪我をしかねないので注意が必要かも。
一の曲輪には按司(琉球における地方の権力者)の守り神を祀った拝所「玉ノミウヂ御嶽」があります。
井戸のような形状をしていますが、「かつては二の曲輪にあるウシヌジガマと繋がっていた」という説もあるそうです。
当時の人々にとっては聖なる場所であると同時に緊急脱出口でもあったのかもしれません。
勝連城跡 雨天観光の注意点
勝連の繁栄の象徴であったグスク「勝連城跡」の見どころを紹介してきましたが、ここでは雨天観光の場合の注意点、雨が降っていても行くべきなのかについて触れたいと思います。
結論から言えば、「雨でも勝連城跡は絶対おすすめ!」ということになります。
世界遺産としての文化的価値はもちろん、海外貿易でおおいに繁栄した勝連の象徴にふさわしい見ごたえのグスク。
雨天ではオーシャンビューは望めないものの、座喜味城跡や玉城城跡と比べると規模が大きく、敷地も広い勝連城跡では、傘を差しながらでも見学しやすいです。
とはいえ、広大なグスクに雨をしのげる場所はほとんどなく、雨天で見学するのであれば最低限の対策はとっておきたいもの。
一の曲輪まで行くと風も強いですよ!
経験をもとにアドバイスするなら以下に気をつけて。
勝連城跡 雨天観光の注意点
- 傾斜&芝生の道が多く、雨で滑りやすい → 城壁に登ることも踏まえてスニーカーで行こう
- 海のそばに建っているので風が強い → 傘は壊れてしまうかも、雨合羽の方がベター
- 城跡には雨をしのげる場所がない → スマホの防水対策ができると安心!
勝連城跡のまとめ
勝連城跡は沖縄の世界遺産としては最古のグスク。
よく整備された城内は見学もしやすく、沖縄の世界遺産の中ではもっとも気軽に見学できるグスクではないでしょうか。
残念ながらボクは雨天に当たってしまいましたが、晴れていれば中城湾や離島を望むオーシャンビューも楽しめる絶景スポットでもあります。
駐車場を併設する「あまわりパーク」の歴史文化施設では、勝連城跡とその繁栄の歴史を映像や展示から学ぶことができ、大人も子供も楽しめること間違いなし!
個人的には天候に関わらず、ぜひ足を運んでみてほしいグスクでした!
勝連城跡のまとめ
- ロケーション 周囲に観光スポット多く、うるま市周遊の起点に
- 一人でも楽しめる? 歴史・展示と眺望のどちらも楽しめる!
- 雨天でも大丈夫? 雨をしのぐ場所はないが、敷地広く比較的見て回りやすい
- 満足度 世界遺産にふさわしい歴史的価値とオーシャンビュー
勝連城跡の基本情報
住所 | 〒904-2311 沖縄県うるま市勝連南風原3807-2 |
電話番号 | 0989-78-2033 |
公式HP | https://www.katsuren-jo.jp/ |
営業時間 | 9:00~18:00(入場チケット購入は17:30まで) |
駐車場 | 無料(18:00まで) |
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