5月末、梅雨ど真ん中の沖縄本島を旅行してきました!
沖縄旅行二日目は、首里城&識名園を巡ってから東海岸側にある中城城(なかぐすくじょうあと)へ。
沖縄県内には300ものグスクが存在するとされていますが、その中でもオリジナルの遺構が多く残っていると言われる、歴史ロマン溢れるグスクでした。
あいにくの悪天候ではありましたが、最低限の対策さえしておけば問題なく楽しめます。
この記事では、中城城跡の見どころやアクセス、駐車場、見学にかかる所要時間や雨天観光時の注意点をご紹介していきます。
中城城跡とは
中城城跡(なかぐすくじょうあと)は、標高約160mの小高い丘の上に築かれた六連郭の大規模なグスク。
石灰岩丘陵上に立地しており、周囲を断崖や勾配の急な斜面に囲まれた、攻めづらく守りやすい城だったようです。
14世紀後半頃までに先中城按司(さちなかぐずくあじ)により基礎部分が築かれた後、1440年に読谷の座喜味城から移ってきた護佐丸(ごさまる)の手で増改築され、現在の姿となりました。
護佐丸は琉球最初の統一王朝に仕えた重臣であり、中城城の改築、座喜味城の築城を行った築城の名手。
中城城跡には野面積み、布積み、あいかた積み(亀甲乱れ積み)の3種類の石積み手法が用いられていますが、護佐丸が増築した三の郭はその中でも高度とされるあいかた積みで築かれています。
日本に開国を迫ったことで有名なペリー提督も1853年に中城城を訪れた際、その城壁やアーチ門の建築技術を称えており、護佐丸の築城手としての腕前が優れていたことがわかりますね。
沖縄県の各地に点在するグスクはその多くが太平洋戦争による被害を被っているものの、中城城跡はその中でも被害が小さく、県内でも最も築城当時の原型をとどめたグスクと言われています。
その歴史的価値が認められたことで、2000年に「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として世界遺産に登録されました。
2006年には日本100名城にも選ばれていますよ!
護佐丸は当時勢力を拡大していた阿麻和利(あまわり)を抑えるべく、1440年に座喜味城から中城城へ移りました。
阿麻和利の支配していた勝連城と、王のいる首里城の中間に位置していた中城城に、忠臣・護佐丸を置くことで、阿麻和利の野心を抑えようとしたとされています。
しかし、1458年に勃発した「護佐丸・阿麻和利の乱」で、護佐丸は命を落とすことになってしまいます。
阿麻和利は、彼に対抗しようと兵馬を整えていた護佐丸を「謀反の企みあり」として王に讒言し、それを信じた王府軍に中城城は攻められることになりました。
護佐丸は王府軍に刃向かうことをせず、妻子とともに自害して果てました。
その後、護佐丸の排除に成功した阿麻和利は首里を急襲したものの、王府軍により鎮圧されています。
この事件で無念の死を遂げた護佐丸は「忠臣・護佐丸」と評価されることになりましたが、近年は研究が進み、実際に護佐丸は謀反人だった説、王が有力家臣の排除を目論んだ王家黒幕説もあるようです。
中城城跡へのアクセス
中城城跡は中城村と北中城村の境に位置しています。
那覇からの交通手段としては車・レンタカーがベストですが、他のグスクと比べると路線バスでもアクセスがしやすいと思います。
ハイシーズンはどうかわかりませんが、5月に訪れた際は待機中のタクシーは1台もなかったので、基本的には車・レンタカー or 路線バスで考えるのがよいでしょう。
車・レンタカーの場合
那覇空港付近からスタートし、豊見城市方面に南下して、那覇空港自動車道路(名嘉地乗り口)から(西原JCT)で沖縄自動車道へ合流するルートが比較的空いています。
このマップでは三つ候補がありますが、一番下のルートですね!
「北中城IC」で下車した後、「第一安谷屋交差点」→「安谷屋交差点」→ 道なりに進むと駐車場(無料・約50台)に到着。
所要時間は約40分です。
路線バスの場合
那覇バスターミナルから東陽バス 30番・泡瀬東線に乗車します。
中城城跡の最寄りバス停は「中城小学校前」と「久場」の二つがあり、どちらで下車しても乗車は約1時間です。
どちらのバス停からも中城城跡までは約2kmの道のりになりますが、丘陵上にある中城城跡へは登り道なので体力的にはけっこうしんどいかも……。
「中城小学校前」から歩く方がやや勾配が緩やかで、見晴らしも良いため、どちらか選ぶならこちらがおすすめ。
バスの本数はあまり多くないので、事前にバス会社HPで時刻表を確認してくださいね!
中城城跡の営業時間・料金
駐車場から中城城跡までは徒歩数分の距離。
城跡入り口のそばにチケット売り場があるので、まずはそちらで観覧料金を支払いましょう。
中城城跡の観覧料金
一般 | 団体 | |
---|---|---|
大人 | 400円 | 300円 |
中・高校生 | 300円 | 200円 |
小学生 | 200円 | 100円 |
中城城跡の観覧時間
観覧時間 | 入場締切 | |
---|---|---|
5月〜9月 | 8:30〜18:30 | 18:00 |
10月〜4月 | 8:30〜17:30 | 17:00 |
中城城跡の観覧時間は時期によって異なるので注意が必要。
チケットの絵柄はペリー提督一行による中城城の調査を描いたものですね!
雨天の中城城跡を巡る
チケット売り場を通り過ぎて道なりに進むと中城城跡の正門があります。
観覧経路としては正門から見ていくのが良いのですが、正門はチケット売り場とは城郭を挟んで反対側。
歩いても行けなくはないものの、無料で乗せてもらえる電動カートを利用するのがおすすめ。
ちなみにトイレは城内にも一箇所ありましたが、あまり綺麗には見えなかったので、入り口で立ち寄っておく方が良いでしょう。
電動カートは雨天でも運行しており、正門の近くまで連れて行ってもらえます。
意外とスピードが出ていて、風が気持ちよかったです!
電動カートで降ろしてもらった場所は正門の外側。
謎の岩塊が綺麗に並べられた不思議な光景が広がっていました。
それぞれに番号を振ったシールが貼られており、今も続けられる発掘作業で見つかったものなのかもしれません。
正門外からも眼下に中城湾が広がる絶景を望むことができます。
この日はあいにくの悪天候でしたが……(笑)
見どころ①:カンジャーガマ
ここからは広大な中城城跡に点在する見どころを紹介していきます。
正門の外側、南の郭の城壁下にあるのがカンジャーガマ。
カンジャーガマは鍛冶屋跡と伝わっており、一説には護佐丸が阿麻和利の侵攻に備えるために武具を造らせていた場所とも言われています。
鍛治が行われていたことは確かなようですが、それが城=軍事のためか、集落=暮らしのためかはわかっていないそう。
見どころ②:正門
中城城跡の正門は周囲を郭の城壁に囲まれ、素人目で見ても明らかに堅固そうな作り。
首里の方向を向いて開いている正門を潜った先には西の郭が広がっており、そこを起点にさらに五つの郭と繋がっています。
門の部分が周囲の城壁に比べて低く見えますが、かつてはその上に櫓が載っていたと考えられています。
正門近くの城壁は一部崩そうとした形跡が見られますが、これは太平洋戦争中に日本軍が塹壕を作ろうとしたものの、石垣の構造が堅固すぎて断念した跡なのだとか。
さすがは築城の名手、護佐丸の城ですね!
見どころ③:南の郭の拝所
中城城跡の城内には二つの拝所があります。
上の写真は御當蔵火神(うとぅうくらひぬかん)、通称、首里遥拝所です。
御當蔵火神は南の郭にあり、護佐丸の滅亡後に中城城を中城王子を治めていた際に作られたもの。
作られた時代が異なるため、周囲の城壁とは石の積み方も違っていますね。
二つ目は雨乞イノ御嶽(正式名称は雨乞イノ御イベ)です。
毎年正月と12月に、中城の神女である与喜屋ノロと地域の人々の手で祭祀が執り行なわれてきました。
1713年に中山王府によって編纂された「琉球国由来記」にもその名が登場しており、当時から中城城における重要な場所だったことが窺えます。
見どころ④:一の郭
西の郭から南の郭を抜けた先にある一の郭は、中城城跡のなかでは最も広く、標高も高い郭。
護佐丸をはじめとして、この地を治めた歴代の中城按司は、この郭に居館を設けて生活していたと考えられています。
のちに間切番所が設けられ、廃藩置県後も中城村役場として使われていましたが、残念ながら太平洋戦争において焼失してしまいました。
今は建物の跡が残るだけですが、正殿の他に護佐丸が宴を催した観月台もあったそうです。
見どころ⑤:太平洋を一望する城壁
二の郭の城壁から望む大海原は、中城城跡のハイライトと言っても過言ではありません。
布積みで築かれた城壁には階段が架けられているので、実際に城壁へ上がることができます。
こちらが城壁上からの絶景!……はい、天気最悪ですね(笑)
本来であればエメラルドグリーンに輝く中城湾を一望できるのですが、雨天だと雨を遮るものもなく、景色も少し残念なことに……。
美しい曲線を描く城壁や、太平洋&東シナ海を一望できる絶景は雨天でも十分に見応えがあるものの、やはり晴れた日にくるのがよさそうですね。
見どころ⑥:大井戸と裏門
正門から真っ直ぐ西の郭を抜けた先には北の郭があります。
北の郭は六連郭の中では小ぶりなのですが、裏門と繋がっており、大井戸(ウフガー)と呼ばれる水の手がある重要拠点。
雨天時は足元が滑りやすいので注意が必要ですが、城壁のふもとあたりに井戸があり、そこまで降りることができます。
北の郭の大井戸だけでなく、西の郭にも夫婦井戸(ミートゥーガー)があり、城郭内に水源を確保しているあたり、戦を想定した城塞だったことがわかります。
大井戸のすぐそばには中城城の裏門があります。
正門ほど大きくはありませんが、精巧な石積みのアーチが美しく、とても中世に築かれたものとは思えませんでした。
ペリー提督の一行もこの門を見て賞賛の言葉を残したそうです!
裏門からの景色はどことなくドラクエっぽい気も(笑)
雨天観光の注意点
古琉球時代のグスク「中城城跡」の見どころを紹介してきましたが、ここでは雨天観光の場合の注意点、雨が降っていても行くべきなのかについて触れたいと思います。
結論から言えば、「雨でも中城城跡は訪れておきたい!」ということになります。
世界遺産としての文化的価値はもちろん、悲劇の忠臣「護佐丸」の物語も踏まえた上で登る中城城跡には、グッとくる歴史ロマンが詰まっていると感じました!
とはいえ、広大なグスクに雨をしのげる場所はほとんどなく、雨天で見学するのであれば最低限の対策はとっておきたいもの。
ボクも残念ながら雨の日に当たってしまいました…。
その経験を元にアドバイスするなら以下に気をつけて!
中城城跡 雨天観光の注意点
- 芝生の道が多く、雨で滑りやすい → 城壁に登ることも踏まえてスニーカーで行こう
- 海のそばに建っているので風が強い → 傘は壊れてしまうかも、雨合羽の方がベター
- 城跡には雨をしのげる場所がない → スマホの防水対策ができると安心!
中城城跡のまとめ
中城城跡は古琉球時代の様子を今に伝える保存状態の良いグスクでした。
沖縄にある300余りのグスクの中でも、オリジナルの遺構が多く残っており、琉球王に忠誠を尽くした悲劇の忠臣「護佐丸」の物語には心打たれる人も多いでしょう。
世界遺産「琉球王国のグスク及び関連遺産群」の構成要素の一つでもあるので、そういった意味でも必見のグスク。
晴れた日には二の郭から望む大海原が最高にきれいですよ!
中城城跡のまとめ
- ロケーション 周辺にメジャーな観光スポット少なめ、バスで直行可能
- 一人でも楽しめる? 広大な敷地を持つ世界遺産だが比較的空いている
- 雨天でも大丈夫? 他のグスクに比べれば道は良いが、雨をしのげる場所はない
- 満足度 世界遺産だけあって見応えある遺構、晴天なら絶景も!
中城城跡の基本情報
住所 | 〒901-2314 沖縄県中頭郡北中城村大城503 |
電話番号 | 098-935-5719 |
公式HP | https://www.nakagusuku-jo.jp/ |
駐車場 | 無料 |
コメントはこちら