岡山県は誰もが知っている昔話「桃太郎」で有名ですが、それゆえに岡山各地には桃太郎にまつわる伝承も数多く存在します。
今回はそんな桃太郎伝説が残る備中一宮、「吉備津神社」に参拝してきました。
その歴史にふさわしく見どころがたくさんあるので、岡山を訪れた際にはぜひ足を運んでほしいスポット!
この記事では、吉備津神社の歴史と伝承、アクセスや見どころなどをご紹介していきます。
吉備津神社とは
吉備津神社は岡山県岡山市西部、古来より神山とされてきた吉備中山の北山麓に鎮座する大社。
同じ吉備中山の北東麓には備前国一宮である吉備津彦神社が鎮座しており、どちらも主祭神として吉備津彦命(きびつひこのみこと)を祀っています。
本来は吉備津神社が吉備国一宮でしたが、吉備国が三分割(備前・備中・備後)される際、備中一宮とされました。
この経緯から、備中の吉備津神社は吉備総鎮守ともされる格式高い神社です。
創建についてははっきりした時期がわかっていません。
仁徳天皇のご巡幸の際、吉備彦命の功を讃えて創建した、5代目子孫にあたる加夜臣奈留美命が社殿を造営して吉備津彦命を祀ったという説があります。
桃太郎伝説との関係
吉備津神社は誰もが知っている有名な昔話「桃太郎」のモデルにも縁があるのをご存知ですか?
かつてこの地には、異国より襲来した温羅(うら)という名の鬼がいました。
この温羅は一説では隣国・百済の王子であったとも言われますが、狼のようにギラつく両眼に、図抜けて高い身長ととんでもない腕力を持ち、荒々しい異形の者だったそう。
温羅は吉備国の新山に城(鬼ノ城)を築き、ここを拠点に破壊と略奪を繰り返したため、人々に鬼と呼ばれてたいそう恐れられ、大和朝廷は彦五十狭芹彦命(ひこいさせりひこのみこと)という武将をこの地に派遣。
彦五十狭芹彦命は吉備津神社に陣を置き、温羅を討つべく矢を放ちますが、温羅の投げ返した石に撃ち落とされて届きません。
そこで彦五十狭芹彦命は矢を二本つがえ、同時に放つとそのうちの一本が温羅に当たりました。
捕らわれた温羅は、自身の呼び名であった「吉備冠者」の名を彦五十狭芹彦命に与え、これを機に彦五十狭芹彦命は吉備津彦命と呼ばれるようになったそう。
この温羅伝説こそが、桃太郎のもとになった話だとされています。
温羅伝説が伝わる鬼ノ城の記事はこちら↓↓↓
吉備津神社のクチコミ
TripAdvisorより引用
国宝の本殿が立派9月の三連休に訪れました。広い駐車場があります。参道の階段を登っていくと北随身門がありましたが修復中でした。その先に室町時代に足利義満が再建した立派な本殿があり国宝に指定されています。境内の少し高いところに学問の神様を祀る一童社があり、絵馬が多く納められた祈願トンネルがあります。その先にこの神社で最も古い室町初期に再建された南随身門があり、ここから長い回廊が続いています。回廊の先には鳴釜神事が行われるお釜殿があります。一之宮らしい非常に立派な神社でした。
バスツアー
TripAdvisorより引用バスツアーで行きました。滞在時間30分なのですべてを見ることはできませんでした。階段を登っていかないといけないので足の弱い方は難しいかもです。
長い回廊がお見事!
TripAdvisorより引用吉備津神社といえば長い回廊ですが、実際に行ってみると、やはり素晴らしいの一言です。人が少ない早朝や夕刻に歩いてみたいです。
吉備津神社は備中一宮なだけあり、歴史があって立派な本殿、廻廊に感銘を受けている方が多いようでした。
一方で、境内は広い上に段差が多いので、歩きやすい靴で参拝するほうが安心です。
吉備津神社の他のクチコミはTripAdvisorでチェックしてみてくださいね!
吉備津神社へのアクセスは電車がおすすめ
吉備津神社はJR吉備線・吉備津駅から徒歩約10分のところに鎮座しています。
神社は吉備中山山麓に鎮座しているため高低差が多いですが、駅からの道中は比較的歩きやすいと思います。
JR岡山駅から吉備津駅までは約25分なので、岡山駅から吉備津神社を参拝しに行くなら片道35分程度はかかりますが、電車で行くのが最も手軽な方法でしょう。
吉備津神社へ車で行くには
吉備津神社境内のすぐ隣には平面駐車場があり、駐車料金は無料です。(正月期間のみ有料)
400台とかなりの台数を停められる広大なスペースがあるので、通常期に満車で停められないようなことはまずないかと思います。
駐車場には第29代内閣総理大臣・犬養毅(1855年 - 1932年)の立像がありました!
犬養毅は五・一五事件で暗殺された総理大臣として有名ですが、彼の出身地が備中国賀陽郡(現在の岡山県岡山市北区)であることはあまり知られていませんね。
かなり大きな像なので、ぜひとも一目見ておきたいですね!
吉備津彦神社から徒歩でも行ける!
吉備津神社へは、同じく吉備中山の北東山麓に鎮座する吉備津彦神社から歩いて行くことができます。
備前国一宮である吉備津彦神社も歴史があり、祭神も同じ吉備津彦神社とは古来より合わせて参拝されてきました。
どちらかのみ参拝するのは「片参り」となってしまうので、時間が許すならどちらもお参りしましょう!
両神社は吉備中山をぐるっと囲む「吉備の中山みち」で繋がっており、山の麓にそって一本道を歩くだけで行き来することができます。
車なら数分の距離ですが、歩いても30分程度なので散策するのもおすすめ!
ボクも吉備の中山みちを歩いて両社に参拝しました!
道中には岡山らしく桃太郎じるしの消火栓がありました(笑)
吉備津神社の営業時間・料金・所要時間
吉備津神社の境内は自由に入ることができますが、祈祷受付は8:30〜16:00なのでご注意ください。
拝観料は必要ありません。
備中一宮である吉備津神社は広大な境内を持つため、隈なく回ろうと思うと30分では足りないでしょう。
一時間から、少なくとも45分程度は確保して参拝したいところですね。
吉備津神社の見どころ
歴史ある備中一宮・吉備津神社には見どころがたくさんあります!
国宝に指定される本殿の他にも重要文化財に指定される建物もあるため、参拝と合わせて見学するのがおすすめ。
桃太郎伝説にまつわるスポットもお見逃しなく!
桃太郎伝説の矢置岩
さっそくですが、桃太郎伝説にまつわるスポットをご紹介します!
こちらの矢置岩は、吉備国で暴れていた温羅を討つべく陣を敷いた吉備津彦命が矢を置いたとされる岩。
本殿へと続く石段の手前にありますので、見落とさないよう気をつけてくださいね。
北随神門
北随神門は北の参道に位置し、吉備津彦とともに吉備国の平定に活躍した神々を祀る建物。
室町時代中期の延文二年(1357年)に再建され、国の重要文化財に指定されています。
吉備津造りの本殿
北の参道の石段を登り切ると……
吉備津神社の本殿・拝殿があります。
たびたび焼失を繰り返した社殿・拝殿ですが、現存するものは明徳元年(1390年)に後光厳天皇の勅命を受けた室町幕府三代将軍・足利義満が造営を始めたとのこと。
応永三十二年(1425年)に落成した社殿は、「比翼入母屋造」という全国でもここだけの建築様式で、それゆえに「吉備津造」とも呼ばれています。
出雲大社、八坂神社の本殿にも並ぶ大きさを誇る立派な社殿です。
本殿・拝殿は戦後に合わせて一棟として国宝に指定されました。
学問の神を祀る一童社
この一童社は学問・芸能の神を祀っており、江戸時代の国学者にも厚い信仰を寄せられたそう。
現代でも受験生達によるお参りがさかんで、合格祈願の絵馬がたくさん奉納されていました!
吉備津神社の絵馬は桃太郎の絵柄でした!
桃太郎の凛々しい表情に、こちらも気持ちが引き締まりそうですね!
岡山県指定文化財の廻廊
個人的に一番感銘を受けたのが、こちらの全長400m近い長さを誇る廻廊!
自然の地形を生かして緩やかに傾斜のついた廻廊は、先が見えないくらい長く伸びており、とても神秘的な雰囲気。
この廻廊は天正七年(1579年)に再建されており、一間ごとに吉備津神社の氏子の寄進によって建てられたものだそう。
岡山県の重要文化財にも指定されています。
廻廊を横から眺めるとこんな感じ。
美しいかたちの廻廊は絶好の写真スポットにもなっており、ここを舞台に写真撮影をしている方も多く見受けられました。
御竃殿の温羅にまつわる神事
廻廊の先にあるのが国指定重要文化財の御竃殿です。
慶長十七年(1612年)に再建された御竃殿では、釜の鳴動でものごとの吉凶を占う「釜鳴神事」が有名。
現在も金曜日を除いて毎日斎行されています。
伝承によると、吉備津神社の祭神・吉備津彦命に討たれた温羅の首は、死後もなお唸り声をあげ続け、犬に食わせて骸骨にしても、御釜殿の下に埋葬しても止まなかったそう。
これに困った吉備津彦命の夢に、ある日温羅が現れ、温羅の妻である阿曽郷の祝の娘である阿曽媛に神饌を炊かせれば、自身が吉備津彦命の使いとなって吉凶を告げようと答えたため、そのようにすると唸り声も収まりました。
これが釜鳴神事のはじまりだとされています!
吉備津神社のまとめ
「吉備津神社」はあの桃太郎のモデルになった温羅伝説に縁のある備中一宮です。
全国でここでしか見られない「吉備津造」の本殿や、400m近い長さを誇る廻廊など、その歴史にふさわしく見どころが盛りだくさんでした!
吉備中山の麓には備前一宮「吉備津彦神社」もあるので、両参りをするのがおすすめです。
皆さんも岡山観光に訪れた際には、ぜひ吉備津神社にも足を運んでみてくださいね!
吉備津神社のまとめ ※ボクの主観での評価です
- ロケーション JR岡山駅から約40分&吉備津彦神社にも近い
- 一人でも楽しめる? 撮影スポットが多く、一人だと悔しい思いを…
- 満足度 備中一宮にふさわしい立派な大社!
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