函館には、レストランガイドで有名なミシュランの発行する「ミシュラン・グリーンガイド・ジャポン」に選ばれたスポットが21か所もあります。
さすがは日本でも有数の観光都市、函館ですね。
今回は、そんなミシュランから★2つ(寄り道する価値がある)と評価された、国の特別史跡でもある「五稜郭跡」に行ってきました!
五稜郭跡とは
函館の五稜郭跡は、その名の通り五芒星の形をした稜堡式城郭(星形要塞)です。
日本にある五芒星形の稜堡式城郭は、長野県佐久市にある龍岡城(たつおかじょう)と、函館の五稜郭の二つのみなのだとか。
五稜郭は安政4年(1857年)に着工し、工事がほぼ完了した元治元年(1864年)には、函館山麓の市街地に置かれていた函館奉行所が移転してきます。
それ以降、明治維新までのわずか4年間ではありますが、徳川幕府による蝦夷地(北海道)統治の中心となりました。
その後、幕末~明治初期に勃発した戊辰戦争で、明治新政府に抵抗した旧幕府軍の最後の拠点として使われたことは有名ですよね。
あの新撰組副長・土方歳三もこの五稜郭から出撃して戦死したとされています。
明治以降の五稜郭は一時練兵場として使われたこともありましたが、二度と政治の中心地となることはなく、1914年以降には「五稜郭公園」として一般開放されました。
1952年、北海道で唯一の国指定特別史跡となり、現在に至ります。
箱館奉行所とは
五稜郭の中心には、2010年に復元公開された函館奉行所が建っています。
オリジナルの函館奉行所は、戊辰戦争・函館戦争終結から2年後の明治4年(1871年)、北海道開拓使の函館から札幌への移転により、解体されてしまいます。
それから140年後の2010年7月、規模こそ3分の1に縮小されたものの、当時と同じ場所に函館奉行所は再建され、一般公開されるようになりました。
復元するにあたっては当時の図面や古文書に加え、パリの骨董店で見つかった函館奉行所の古写真が大きな役割を果たし、当時に近しい姿を見ることができるようになっています。
五稜郭公園&箱館奉行所へのアクセス
五稜郭はJR函館駅やベイエリアからはやや離れた内陸にあります。
函館奉行所が五稜郭に置かれたのは、海からの艦砲射撃を警戒したことも理由のひとつであり、それゆえに函館駅前からだと車、もしくは函館市電を利用してアクセスするのが一般的。
車でのアクセス
JR函館駅前から車で向かう場合、所要時間はいずれのルートでも10分前後。
観光のハイシーズンでは道路の混雑もあるでしょうが、割と気軽に訪れることができる距離感ですね。
市電&徒歩でのアクセス
観光で五稜郭を訪れるならば、こちらの方が主流ではないかと思います。
徒歩で五稜郭に行くには、まずは函館市電を使って「五稜郭公園前」駅に行きましょう。
五稜郭までは徒歩約10分です。
道順はシンプルですし、ところどころに案内板も出ているので、迷ってしまうような心配はないかと。
函館市電の利用は初めてでは難しく思えるかもしれませんが、バスと同じような乗り方なので意外と簡単!
心配な方は以下の記事を参考にしてみてください。
五稜郭公園を散策
こちらが函館市電・五稜郭公園前駅、五稜郭タワー方面から五稜郭跡への入口。
元が城郭である五稜郭跡へは、半月堡(はんげつほ)と呼ばれる出島のような部分を通って入ることになります。
この写真は五稜郭タワー展望台から撮ったものです。
星形の本体と外部を橋で繋ぐ、出島のようになっているのがよく分かりますね。
半月堡は日本のお城によく見られた「馬出」と似た役割を果たす、城郭の防御力を高めるための設備。
ただし、五稜郭には資金不足などの理由から、半月堡はこの一か所にのみ築かれることになったそうです。
さっそく橋を渡って半月堡に上陸します。
五稜郭のお堀は半月堡の周りにも張り巡らされており、もしここから五稜郭を攻めるとしたら相当な苦労を強いられるだろうことがわかります。
半月堡の塀のそばにNO DRONEの看板が……。
五稜郭には高い建物がないのでドローンも飛ばしがいがあるでしょうが、だからって実際に史跡で飛ばすような人いるんでしょうか。
五稜郭のお堀沿いには貸しボート屋さんもありました。
場違いなトロピカル感たっぷりのBGMを流しているのは少し笑えましたが、五稜郭のお堀をボートで巡るのも楽しそうですね!
半月堡に架けられた二つ目の橋を渡り切ると、五稜郭の中心に再建された函館奉行所まではすぐ。
函館奉行所の看板が掛けられた門は、再建されたものではあるでしょうが、当時の雰囲気を感じさせてくれます。
訪れたのは10月上旬でしたが、すでに園内は紅葉がかなり進んでいました。
中旬以降に訪れれば、もっときれいな紅葉が見られるかもしれません。
門を抜けた正面には、立派な藤棚のトンネルが伸びています。
本州では藤の花の見ごろは5月上旬、ゴールデンウィーク前後ですが、ここでは5月下旬~6月上旬が見ごろになるようです。
立派な藤棚のトンネルを抜けると、こちらもとても大きく、豪快に伸びている松が待っています。(松だけに……というしょうもないダジャレになり、ここで一人でにやけました)
箱館奉行所に入館
そして、こちらが五稜郭の中心にある「函館奉行所」です。
この函館奉行所、かつてのオリジナルと同じ場所に再建されており、その他細部まで当時の姿の復元にこだわっているそう。
たとえば屋根瓦には、当時の技術では色むらが出ていたことがわかったので、越前産の赤瓦を4種類混ぜて使い、当時のまだらな屋根を再現しています。
ここだけ切り取ると、もはや江戸時代にしか見えません!
奉行所の前には、こちらも再現された井戸跡があります。
復元された函館奉行所は内部の見学もできます。
靴を脱いで入口のビニール袋に入れ、入館してすぐ左にある券売機で入館券を購入しましょう。
入館券を受付で見せると、パンフレットをもらえます。
奉行所内には順路がわかりやすく示されているので、基本は順番に回っていくのがおすすめ。
奉行所の内部もしっかり再現されており、ここを歩いているだけでも幕末にタイムスリップしたような感覚を楽しめます。
ちなみに、通路に敷かれた畳の裏には床暖房が設置されているのだとか!
タイムスリップとか言いながら現代のシステムを紹介するのも何ですが、おかげで冬でも快適に見学できそう。
こちらの広間は入口側から順に、四之間→参之間→弐之間→壹之間と続きます。
この広間では、廊下の畳とは異なり、72の備後本畳が敷かれているそう。
壹之間は函館奉行が接見をおこなう場所であり、1868年、この部屋で徳川幕府から明治新政府への奉行所引き渡しがおこなわれました。(その後、旧幕府軍に奪取され、維新の最終決戦地になる)
函館奉行所でも格式高いエリアなので、厳かな空気を感じられました。
奉行所内にはところどころスタッフの方がおり、函館奉行所やその歴史について教えてくださったり、写真撮影をしてくださいます。
ボクも函館奉行の座るポジションで撮影してもらいましたが、他の観光客に見られながら奉行っぽさを出すのは難しかったですね……(笑)
外観からも見ることができる太鼓楼を、裏側から覗いた図。
現在は二階の太鼓楼へ上がることは制限されていますが、当時はあそこから函館を眺めることができたのでしょうか。
こちらは復元された函館奉行所の模型です。
太鼓楼が際立つその外観は、当時とても力強い印象を人々に与えていたのでしょうね。
お昼過ぎに訪れたので人も多く、撮影はできませんでしたが、映像シアターや函館奉行所復元プロジェクトの経緯も紹介されています。
奉行所内をじっくり見学すると、1時間は必要かなと思いました。
出口には、内玄関の式台の下に埋められていたという信楽焼の壺が3つ。
誰かが奉行所に入ろうとすると、その足音を反響させ、その存在を奉行所内部に知らせる役割を果たしたと考えられているのだそうです。
五稜郭公園&箱館奉行所のまとめ
五稜郭公園&函館奉行所は、ミシュラン・グリーンガイド・ジャポンに★2つと評価されるだけあり、江戸~明治の雰囲気を残す素晴らしいスポット!
ベイエリアから離れているのはやや難点ですが、函館市電を使えばアクセスは容易ですし、わざわざ足を運ぶ価値があると思います。
五稜郭公園&函館奉行所のまとめ ※ボクの主観での評価です
- ロケーション 函館の他の観光地からはやや離れてしまう
- 一人でも楽しめる? 歴史スポットなのでむしろゆっくりできておすすめ!
- 満足度 かつての函館の様子が窺い知れる名所
効率よく函館観光を楽しむなら
今回訪れた五稜郭&函館奉行所以外にも、函館には絶景や見どころがたくさんあります!
何と言ってもミシュランに選ばれたスポットが21ヶ所もあるくらいですからね!
ただし、それぞれのスポットは距離が離れていて、効率よく回りづらいという難点も……。
世界中のツアーやアクティビティを扱うツアー会社「VELTRA」には、そんな函館に点在する人気スポットを周遊できるバスツアーがあります。
一人でも参加可能、口コミ評点も高いツアーなので、時間を無駄にすることなく函館観光を満喫したい人におすすめ!
五稜郭公園の基本情報
住所 | 〒040-0001 北海道函館市五稜郭町44 |
営業時間 | 4月〜10月 5:00〜19:00 / 11月〜3月 5:00〜18:00 |
見学料 | 無料 |
駐車場 | 無し ※近くに函館市五稜郭観光駐車場あり(有料・97台収容) |
箱館奉行所の基本情報
公式HP | https://www.hakodate-bugyosho.jp/ |
営業時間 | 4月~10月 9:00〜18:00(17:45受付終了) / 11月~3月 9:00〜17:00(16:45受付終了) |
定休日 | なし ※年末年始、および臨時の休館あり |
見学料 | 一般 500円 / 学生・児童 250円 / 未就学児 無料 |
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