日本人にとって身近な海外旅行先である台湾。
政治・経済の中心で観光客にも一番人気の台北だけでなく、台湾第二の都市・高雄や古都・台南、近年発展が目覚ましい台中など、魅力ある街が各地に点在しています。
旅慣れた方や台湾リピーターであれば、一度の旅行で複数の街を巡りたいと思いますよね!
台湾周遊にもってこいの長距離移動手段が、今回ご紹介する長距離バスです。
観光客には新幹線(高鐵)の利用が一般的なのでしょうが、費用が高いのが難点……。
その点、台湾の長距離バスは高鐵と比べて圧倒的に安く、節約志向の方には特におすすめ!
この記事では、台湾でも豪華な座席を揃えている阿羅哈客運(アロハバス)を利用して、台北から高雄へ旅行してきましたので、チケットの入手方法や実際の乗車レポートも含めてご紹介していきます。
台湾の長距離バスはメジャーな移動手段
日本は台湾と比べると国土は広く、縦に長い国なので、長距離を移動しようと思うと新幹線や飛行機を利用する方が多いですよね。
長距離を走る夜行バスもありますが、これまでに乗ったことが無い方のほうが多いのではないでしょうか。
一方で台湾は、そもそも日本と比べるとかなり小さい国(九州の約0.8倍)であり、離島でもない限り、移動手段に飛行機はほぼ使われません。
日本人を含めた外国人観光客が台湾で長距離移動する場合、高鐵(台湾の新幹線)がよく使われます。
ですが、高鐵では圧倒的に所要時間を抑えられる代わりに、どうしても運賃は高めになるのが難点……。
実は台湾人が長距離移動する場合、高鐵と並んでメジャーな手段が長距離バスなのです。
とにかく安く済みますし、台北から台湾第二の都市・高雄まで4時間半〜5時間程度と、北から南まで縦断してもそこまで所要時間がかからないのも魅力。
台北から高雄への移動手段比較
台北から高雄までの移動手段としては在来線(台鉄)・新幹線(高鐵)・長距離バスの3つが挙げられます。
それぞれの費用と所要時間は以下の通り。
所要時間 | 料金 | |
---|---|---|
在来線(台鉄) | 約5時間 | 843元(約3,200円) |
新幹線(高鐵) | 約100〜120分 | 1,490元(約5,600円) |
長距離バス | 約5時間 | 470〜715元(約1,800〜2,700円) |
ご覧の通り、所要時間の点で言えば台湾の新幹線である高鐵を使うのが一番。
そのかわり運賃も高いので、節約旅行には向かない選択肢でもありますね。
長距離バスは所要時間は在来線とほぼ同じ約5時間ですが、運賃は470元〜で最も安い移動手段です。
時間効率を重視するなら新幹線(高鐵)、節約を重視するなら長距離バスが最適解!
なお、長距離バスは深夜でも運行しているので、睡眠時間を移動に充てる強行軍も可能。
乗車約5時間と睡眠にはやや物足りない長さなので、翌日の観光はやや体力的にしんどいかもしれませんが、時間効率&節約をどちらも追求することができます。
それぞれの優先するポイントに合わせて移動手段を選択するのがおすすめです!
台湾の長距離バスチケット入手方法
台湾の長距離バスに乗車するには、まず事前にチケットを入手する必要があります。
日本の夜行バス、長距離バスと同じですね!
チケットの入手手段は主に3パターンありますので、以下でそれぞれご紹介していきます。
バスターミナル窓口で購入(王道)
最も一般的な長距離バスチケットの入手方法は、バスターミナルの窓口で購入すること。
台湾人はだいたいこの方法でチケットを買っていますね!
「台北轉運站(台北バスターミナル)」の1階には、上の写真のようにチケットの販売窓口がズラッと並んでいます。
バス会社ごと、目的地ごとに窓口が分かれているため、お目当ての窓口に並んで購入しましょう。
日本語対応はNGで、言語面に不安がある人には少しハードルが高いかも。
とはいえ、窓口の方は外国人の相手も慣れているので、スマホのメモ機能にでも目的地・時間を入力して見せれば十分理解してもらえます。
台北バスターミナルの出発口は2〜4階で、バス会社ごとにフロアが異なりますが、そのカウンター(上の写真のような感じ)でも購入することは可能。
ただ、確実に日本語は通じませんし、1階窓口で購入する方が無難ですね……。
バス会社HPで購入(難易度高め)
バスチケットは各バス会社のホームページでも購入することができます。
この方法は事前に予約ができることが最大のメリットでしょうが、中国語を話せない日本人が利用するには少し難しいかもしれません。
たいていのバス会社HPは日本語ページが無く、あったと思ったら上の写真のように翻訳が怪しい、みたいなことが多いです。
規約への同意やパスポート番号の入力など、内容を理解しないまま進めるわけにいかない箇所もあるため、中国語に自身があるか、よっぽどこの方法で予約したい人以外は避けた方が良さそう。
台湾のコンビニで購入(おすすめ!)
ボクが一番おすすめしたいのが台湾のコンビニエンスストアで購入する方法です!
台湾の主なコンビニでは、日本のコンビニと同じように、上の写真のような端末が設置されています。
この端末を使って申し込み手続きをして、出てきたレシートの金額をレジで支払えば、チケットの購入は完了。
この方法は日本人にも馴染みがあり、端末で便・座席選択ができるので安心です!
台湾の都市部にはセブンイレブンやファミリーマートがありますので、台湾到着後、観光の合間にでも手軽に購入することができますよ。
前述のバスターミナルで直接購入する方法、バス会社HPで事前購入する方法の折衷案のようですが、この方法がそれぞれの良いとこ取りができて万人向けだと思います。
今回乗車したのは阿羅哈客運(アロハバス)
台北から高雄への長距離バスを運行しているのは何もひとつだけではありません。
台北-高雄間を運行している主なバス会社は以下の4つ。
國光客運 | 全票530元(約2,000円) |
統聯客運(Ubus) | 全票530元(約2,000円) |
阿羅哈客運 | 全票715元(約2,700円) |
和欣客運 | 全票710元(約2,700円) |
國光客運は台湾最大手のバス会社で、路線バスのようなスタンダードタイプの客席ですが、その分価格が安いのが特徴。
統聯客運(Ubus)も國光客運とほぼ同じスペックですが、内装などは若干綺麗でしょうか。
阿羅哈客運(アロハバス)と和欣客運は運賃はやや高くなるものの、内装は二排座(2列シート)になり、日本の長距離バスと比べてもかなり快適な乗り心地が売り!(三排座=3列シートのバスもあり)
今回、ボクが台北から高雄への移動に阿羅哈客運(アロハバス)を利用しました。
節約しようとも思ったのですが、台北での仕事終わりに直接乗り込むこともあり、車中ではゆっくり休みたかった……。
次では、台北轉運站(台北バスターミナル)から阿羅哈客運に乗車する流れ、実際に乗車した様子をご紹介したいと思います。
台湾長距離バスの乗車方法
阿羅哈客運(アロハバス)の乗り場は臺北車站(台鉄・台北駅)の大通りを挟んで向かいにある台北轉運站(台北バスターミナル)です。
京站時尚広場(Qスクエア)というショッピングモールと一体になっており、台北駅の地下街を通じてアクセスすることもできる便利な立地。
ターミナル1階にはバス会社ごとのチケットカウンターが弧を描くようにずらりと並んでいます。
チケットを持っていない方はここでバス会社のカウンターに並び、目当ての時間・目的地のチケットを購入しましょう。
日本ではなかなか見ることのない光景なので、チケットを入手済みの方も一目見てみてくださいね!
また、ターミナル1Fにはコンビニやドラッグストア、飲食店などがあり、待ち時間を潰したり、旅行用品を購入することができますよ。
チケットを入手したらバスの出発口に向かいます。
出発口はバスターミナルの2〜4階にあり、バス会社ごとにフロアが違うので注意!
ターミナル内には至るところに上の写真のようなフロアマップがあるので心配ありませんが、自身の利用するバス会社を確認の上、正しいフロアに向かいましょう。
もうひとつ注意しなければいけないのが出発口の番号(月臺)です。
バス会社によってフロアが違うだけでなく、バス会社が複数出発口を持っているので、「正しいフロアの正しい出発口」に向かう必要があります。
バス会社でフロアは基本同じなので、まずは利用するバス会社の出発するフロアに向かいましょう。
そうすると上の写真のように、そのフロア(樓)から出発するバスを表示した電光掲示板がありますので、そちらで確認するのが安心です。
今回ボクが利用した阿羅哈客運は4階の出発口416でした!
出発口の上部に番号とバス会社名が記載されているので、自身の手元にあるチケットと照らし合わせて確認します。
出発時刻前に発車してしまうようなことはありませんが、出発時刻の数分前には乗車開始の合図があります。
それぞれの出発口の前にはご覧のようなベンチが用意されています。
遅くとも出発10分前にはこちらで待機しておきたいですね。
乗車開始の際には出発口の脇にいるスタッフが合図をしてくれますが、中国語オンリーでした……。
中国語が分からない方は出発口上部にあるモニターをチェックしておくのがおすすめ!
乗車するバスの欄が赤くなり、「請登車(乗車してください)」という表示がありますので、これを合図に出発口カウンターに向かいましょう。
カウンターでスタッフの方にチケットを表示し、荷物を預けたらバスに乗り込みます。
阿羅哈客運(アロハバス)乗車記
阿羅哈客運(アロハバス)の車内はこんな感じ。
どことなく中華感を醸し出す緑一色の車内は、日本の高速バスとはまったく異なる雰囲気ですね!
いかにもローカルな雰囲気ですが、車内は清潔そのものでとても過ごしやすかったです。
座席は2列×10席前後と比較的少なく、その分パースナルスペース広めに取られているのが特徴的。
座席は全面革張りの豪華なシート!
写真では少し分かりづらいものの、横幅も広く、一般的なバスはもちろん、新幹線のグリーン車と比べても格段に快適な座り心地です。
座席の肘置き部分に大きく番号が書かれている(写真だと光っていて分かりづらいですが)ので、チケットの番号と照らし合わせて席に着きます。
座席番号の近くにはあれこれボタンが集まっていて、これらでリクライニングや頭上のライトなどを操作できます。
21時発のバスだったためか、車内に乗客は少なく、思い切り座席を倒して寛ぐことができました!
窓側の肘置きにはテーブルが収納されていましたが、この時はコロナ対策で車内飲食が禁止されていたため、残念ながらこの日は出番なし。
ドリンクスタンドも各座席に二つずつ付いています。
乗車前に調べた時には、座席にミネラルウォーターが用意されているという情報を見かけましたが、これも無くなっていました。
小型ながらTVも付いていましたが、あいにく中国語放送のみです。
ただし、夜間で道中が空いていたこともあり、乗車時間は4時間程度と短く、寝るほどの時間は無かったのが見込み違いでした……。
日本の夜行バスと同じイメージで、夜に出発して朝に到着すると思い込んでいましたが、車内では眠れず、現地には真夜中に着いてしまい手持ち無沙汰に。
このように少し照明は落とされますが、真っ暗というわけではなく、普通にスマホなどいじっていてもひんしゅくを買うようなことはありません。
車内での暇つぶしにスマホやタブレットなどがあるといいかもしれないですね!
ちなみに、車酔いしない方にはNetflixのような動画配信サービスなどもおすすめですが、海外だと使えないサービス(U-NEXTなど)もあるので、事前に確認しておくと良いかも。
なお、各座席には腕置き部分にコンセント&USBポートがあり、無料で端末の充電をすることができます。
車内はご覧の通り、アロハバスの無料WiFiが利用できるため、パケットを気にせず動画視聴やゲームで楽しむことができました。
台湾の長距離バスは乗車時間が短いこともあり、日本の長距離バスのようにサービスエリアで休憩したりはしません。
その代わりに車内にはトイレが用意されています。
今回、ボクの席(たしか13列目)はたまたまトイレの目の前で、特に臭いや音は気になりませんでしたが、座席の足元が狭くなっていたので避けるのが良いと思います。
こちらが高雄の阿羅哈客運(アロハバス)の乗降場所。
台鉄・高雄駅の徒歩圏にあり、アロハバス以外のバス会社も多くがこのエリアで乗降できるようになっていました。
バスを降り、荷物を受け取ると自由解散なのは日本と一緒です。
まだ周囲が暗い時間に到着してしまいましたが、夜中でもバス会社の多くは営業しており、あたりにはそれなりに人もいて治安が悪い感じはしませんでした。
この周辺にはいくつかホテルもあったので、近場で押さえておくと動きやすくなるかもしれません。
ボクは台湾人同僚に教えてもらった「JÒHŌ HOTEL」を予約していたので、ここからとぼとぼ歩くことに……。
まとめ
台湾では一般的な移動手段である長距離バスをご紹介しました!
長距離バスはそれほど国土の広くない台湾を巡るには便利な手段で、高鐵(台湾の新幹線)と比べて運賃が安い点も大きなメリット!
ボクが今回乗車した阿羅哈客運(アロハバス)のように快適な乗り心地が売りのバス会社もあって、思っていた以上にノンストレスで台北から高雄へ行くことができました。
チケットはバスターミナルはもちろん、コンビニなどでも購入できるので、それ自体は難しくありませんが、基本的には台湾人が主な乗客になるため、日本語は通じないことも……。
特に中国語が話せなくても困ることはありませんでしたが、言語面に不安を感じる方は無難に高鐵を使うのが良いかもしれませんね。
逆に旅慣れている方、台湾を以前にも訪れたことがある方にはぜひトライしてみてほしいと思います!
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