台北観光の定番と言えば九份観光ですよね。
映画「千と千尋の神隠し」のモデルになった場所とも言われ、日本人観光客にも大人気のスポットです。
実際には映画のモデルにはなっていないそうですが……。
今回はその九份とは目と鼻の先にある金瓜石エリアへと足を延ばしてみました。
かつて金鉱山として稼働していた金瓜石には、当時信仰を集めていた「金瓜石神社」、「黄金神社」とも呼ばれていた神社の跡が残されています。
今は廃墟と化した神社跡ですが、どことなく異世界感のある不思議な光景はSNSやブログでも紹介されており、金運パワースポットとしても隠れた名所になっているのだとか。
この記事では、そんな金瓜石神社へのアクセスや見どころ、基本情報などをご紹介していきます。
金瓜石神社とは
金瓜石神社は、新北市瑞芳区金瓜石にあった日本統治時代の神社跡です。
神社のある金瓜石鉱山は当時、北東アジア最大の金鉱山とされており、鉱山を管理していた日本企業が建立したのが始まりです。
金瓜石神社は別名「黄金神社」とも呼ばれ、治金の守護神として大国主命、金山彦命、猿田彦命の三神を祀っていました。
日本統治時代には鉱山の従業員や周辺住民からの信仰を集め、非公式ではありますが地元・台湾で信仰されていた媽祖にまつわる儀式も行われていたそうです。
太平洋戦争後、日本が台湾から撤退すると社殿は破却されましたが、今でも社殿の柱や鳥居などの一部建造物は残されており、ノスタルジックな雰囲気の漂うスポットとなっています。
コロナ禍により観光客が激減したタイミングで修復工事が行われていましたが、ようやく終了し、2022年10月から再び見学できるようになりました。
金運のパワースポットとしても知られているので、金鉱山の歴史にあやかりたい人には特におすすめ!
金瓜石神社へのアクセス
金瓜石神社は、台北観光の定番スポットである九份老街のさらに先にあります。
九份老街と金瓜石神社の最寄りバス停まではバスで5分とそれほど離れていないので、セットで巡るとよりこのエリアを満喫できると思います。
先に金瓜石神社を見学し、夕方から夜にかけて九份老街を散策、九份からはバスで台北へ、というのがスムーズでしょうか。
電車やタクシーを組み合わせても行くことができますが、台北市内から出ている直行バスがおすすめです。
ボクは今回、台湾鉄道・台北MRTの駅もある「松山車站」から1062番のバスに乗車しました。
1062番のバスで「松山車站」から「金瓜石(黄金博物)」まで乗車約1時間で到着できるので、電車(台鉄)&タクシーの組み合わせよりも速いかもしれません。
「金瓜石」バス停は二つあるので注意!終点ではない方の「金瓜石」で下車しましょう!
黄金博物館を抜けて金瓜石神社へ
金瓜石神社までは「金瓜石」バス停から徒歩で約10分の距離があります。
勾配も少なからずありますので、スニーカーなどの歩きやすい靴がいいでしょう。
金瓜石神社は新北市立黄金博物館の敷地内にあります。
黄金博物館はその名から想像できる通り、かつて金鉱山として稼働していた金瓜石の当時の様子を今に伝える施設。
中に入るのに受付手続きや入場料は必要ありませんので、バス停を降りたらそのまま先へと進みましょう。
ご覧の通り、勾配があって石段が長く続く道のりになります。
きちんと整備された道ではあるので、難路というわけではありませんが、日ごろ運動不足だと少々きついかもしれません。
かつて鉱山にあった駅の跡地まで来たところです。
この先には鉱山跡を見学できる施設もありますが、金瓜石神社は道を外れてさらに登り道を行くことに。
看板には日本語説明はありませんが、かつての神社跡の写真が掲載されていました。
コロナ禍中に実施された修復工事の一環で道も整備されたため、実物とは少し印象が違うような気がします。
しょっぱなから坂道……!
金瓜石神社までは550m(少し登った地点ですが)なので、それほど遠くはありません。
適度に休みながら上を目指していきましょう。
金瓜石神社の道中からは、すぐ近くにある茶壺山山頂を眺めることができます。
山頂にある大岩が遠くから見ると茶壺のように見えることからその名が付いた茶壺山は、眺めるだけでなく実際に登ることも可能。
金瓜石神社よりはハードですが、専門的な装備が無くても十分に登れる山ですので、興味があればボクが実際に登った時の記事を参考にしてくださいね。
あいにくこの時は山頂に雲がかかり、ティーポットを眺めることはできませんでした。
さらに登り続けると一つ目の鳥居が見えてきます。
鉱山にふさわしく石鳥居です。
以前はしめ縄はありませんでしたが、修復工事を経て掛けられたようですね。
一の鳥居から後ろを振り返った図。
勾配のきつさが伝わるでしょうか。
日本統治時代の遺構
こちらは「坑夫中」という文字が刻まれた石燈籠。
この石燈籠、以前は跡形もなく崩れてしまっていましたが、修復工事の一環でかつての姿を取り戻したものです。
こちらはすでに無い建造物の礎石ですね。
今回、修復工事と並行して行われた発掘作業で発見されたそうです。
さらに先には石鳥居が展示されていました。
この鳥居は1898年に建立された一代目の石鳥居だそうで、明神鳥居という様式になっています。
高さ172cmしかなく、かなり小ぶりな鳥居ですが、その歴史にふさわしい傷や染みを残した姿には不思議と懐かしさを感じました。
寂寥の金瓜石神社で歴史に思いを馳せる
ここまで来たら金瓜石神社の頂上まではあと少し。
趣のある門構えですね!
二つ目の鳥居が見えてきたらもうゴール。
こちらが金瓜石神社のかつての本殿跡です!
どことなく寂寥感の漂う不思議な、それでいて惹きつけられるような雰囲気。
すぐ左手には手水鉢があります。
すでに水は枯れていますが、ちゃんと日本の神社と同じ様式だったことが分かりますね。
ちなみに真新しい白い屋根部分は修復工事の際に追加された建物です。
本殿周辺は遮るものがなく、山々の先にある海までを望むことができる絶景。
さっきは雲がかかっていて見られなかった茶壺山の頂上も見えました!
すごく小さいですが、茶壺っぽい形をしているのがわかるでしょうか(笑)
改めて本殿へ。
石燈籠の先に建つ不思議な柱群は、かつてここにあった社殿の跡。
異世界感のある風景は台湾人にも魅力的に映るようで、SNSやブログで数多く紹介されているスポットでもあります。
神社というよりギリシャの神殿のようにも見えますね。
こちらが本殿跡ですね。
今は台座の上に何も残っていませんが、かつては小ぶりながら本殿が建っていたそうです。
破却された時の跡がはっきりと残る箇所も。
本殿建物の跡には大きな穴が開いた箱が残るのみです。
神社本殿の下を覗く機会なんてまずないですし、これはこれで貴重な光景。
本殿から鳥居の方へ振り返った図。
修復工事で地面が敷き直されてしまったので、以前のような廃墟感は少し薄れてしまったような気がします。
本殿台座上からの景色も素晴らしい。
風も心地よいので、休憩しながら神社跡の神秘的な雰囲気を楽しむのがおすすめです。
ついでに黄金瀑布へも行ってみた
金瓜石神社周辺は元々は東アジア最大の金鉱山だったこともあり、それにまつわるスポットが点在しています。
今回は帰り道に金鉱山開発によって誕生した「黄金瀑布」へと足を延ばしてみました。
神社本殿からは徒歩で40分近くかかるため、体力と相談しながら行ってみてくださいね!
こちらが黄金瀑布です!
周囲は草が生い茂っているのに、水の流れる部分は茶色い土がむき出しになっている不思議な光景。
実はこの滝に流れる水には硫黄、ヒ素、銅鉱石の成分などが含まれており、そのため黄金色に染まってしまうそうです。
滝の流れる場所に草が生えず、茶色くなっているのも同じ理由で、上記の成分が長い時間をかけて染み込んだのだとか。
多量の金属ミネラルが含まれるこの水は人体には有害なので近寄りすぎないように気を付けましょう!
この有毒性は金鉱山による環境汚染の影響と考えられてきましたが、実際には自然発生的な現象ということがわかってきました。
ここを流れる水は海へと流れ込み、河口周辺は青と黄色の二色が水面に現れるため、そのコントラストから「陰陽海」と呼ばれています。
金瓜石神社と並ぶ奇景なので、余力があればぜひ黄金瀑布へも足を延ばしてみてくださいね。
金瓜石神社のまとめ
金瓜石神社は、日本統治時代に金鉱山の従業員によって信仰された神社跡。
今は廃墟と化していますが、その異世界のような不思議な光景は写真映えすることから、台湾人のSNSやブログでは数多く紹介されている隠れた人気スポットです。
2022年10月には修復工事を終え、再び見学ができるようになりました。
以前と比べてノスタルジックな雰囲気は少し失われてしまった気がしますが、その分訪れやすくなったと思います。
九份とは目と鼻の先なので、セットで巡ってみるのがおすすめですよ!
金瓜石神社のまとめ
- ロケーション アクセス良好とは言い難いが、本殿からの絶景は素晴らしい
- 一人でも楽しめる? 異世界のような不思議な空間は一人でこそ楽しめるかも
- 日本語 ネット情報含めて日本語少ない、現地では使う機会ないので安心
- 満足度 異国で出会う神社跡は懐かしさを感じられる、SNS映えもGood!
金瓜石神社の基本情報
住所 | 新北市瑞芳區金光路8號 |
電話番号 | 02-2496-2800 |
公式HP | https://www.gep-jp.ntpc.gov.tw/ |
営業時間 | 平日 9:30~17:00 / 休日 9:30~18:00 |
入場料 | 黄金博物館 80元 |
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