京都市伏見区にある「伏見稲荷大社」は、全国に3万もあるとされる稲荷神社の総本宮です。
初詣では近畿地方で最も多くの参拝者が訪れる格式高い神社であるとともに、外国人観光客にも人気の観光スポットになっています。
その人気はトリップアドバイザーで「外国人に人気の日本の観光スポット」調査で2014年以来、連続1位を取り続けているほど!
そんな伏見稲荷大社に5年ぶりに行ってきたので、見どころや以前との変化についてまとめてみました。
伏見稲荷大社とは
伏見稲荷大社は約30,000社もあるとされる稲荷神社の総本宮で、全国各地で「お稲荷さん」として親しまれている稲荷信仰の原点でもある神社。
御祭神の稲荷大神様が稲荷山に降臨したとされるのが奈良時代の和銅4年(西暦711年)なので、御鎮座1,300年を超える長きにわたり人々に厚く信仰されてきたということですね。
ちなみに本殿は稲荷山の麓にありますが、背後の稲荷山全体も含めて神域とされています。
応仁の乱における戦禍に巻き込まれ、一度はその社殿のほぼ全てを消失してしまう稲荷大社ですが、豊臣秀吉らの寄進を受けて再興されます。
江戸時代に入ってからは朝廷や、特に商いの成功を祈る(結願)商人たちから信仰を集め、結願の礼として赤い鳥居を奉納する習慣が生まれました。
これがあの有名な千本鳥居を形成することになっていきます。
その後、幕末の明治維新では戦場にはならなかったものの、明治新政府による神仏分離・廃仏毀釈や社領の没収などの影響を受け、ほぼ現在の伏見稲荷大社の姿となりました。
伏見稲荷大社へのアクセス
京都駅から見て南に位置する伏見稲荷大社へは、電車でのアクセスが便利です。
JR「京都」駅から奈良線「稲荷」駅まで乗車5分、伏見稲荷大社は駅のすぐ目の前なので迷う心配はありません。
「稲荷」駅の改札を抜けるとすぐ目の前に伏見稲荷大社の鳥居が見えます。
到着したのは午前10時前でしたが、境内は24時間開放されていることもあってすでにこの賑わい。
JR「稲荷」駅にはコインロッカーがあるので、荷物が多い人は預けていくのもいいかも。
ただし、この時はすでに空きロッカーがありませんでしたが……。
改札には海外からのお客さん専用インフォメーションカウンターがありました。
5年前に訪れたときとは比較にならないぐらい外国人観光客が増えていたので、こういった対応も必要になってきているでしょうね。
伏見稲荷大社へ参詣
駅舎を出たら、目の前にある鳥居が表参道の入口です。
同じ電車で着いた人たちもほとんどは伏見稲荷大社への参詣が目的なので、人の流れに乗って参道入口へ。
何てことない休日でも参道は人で溢れていました。
参道はかなり広いので、最初の鳥居をくぐって少し進めばだいぶ余裕が出てきます。
日本人ももちろんいるのですが、圧倒的に外国人観光客が多い……!
5年前に参詣した時はそもそもここまで混雑していませんでしたし、さっそくギャップを感じます。
2つ目の鳥居まで来たら、その先には立派な楼門が控えています。
楼門をくぐる前に手水舎に立ち寄ります。
この手水舎もめちゃくちゃ混んでいて、手洗いにも順番待ちが発生していました……。
ここまで手水舎が繁盛することもなかなか無いですよね(笑)
秀吉造営の楼門
手洗いを済ませたらまず迎えてくれるのがこちらの楼門です!
見上げるほどの大きさで荘厳さを感じますね。
この楼門は天正17年(1589年)にあの豊臣秀吉の命で造営された歴史あるもので、国の重要文化財にも指定されています。
左右に稲荷神の神使とされる狐を従えているあたりは稲荷神社らしいですね。
青空に映える朱色と狐さま。
透かし彫りが見事な外拝殿
楼門をくぐってすぐのところに外拝殿(げはいでん)があります。
こちらも天保11年(1840年)に再建された貴重な国の重要文化財。
ですがすぐ後ろに本殿が控えているためか、ほとんどの参拝客は素通りしていってしまいます……。
そんな外拝殿にも見どころがあります!
実は軒下に下げられた鉄灯篭には12星座の透かし彫りが施されているのだとか。
ボクは残念ながら見落としてしまったので、これから参詣される方はぜひ注目してみてください!
本殿の手前には大きな境内図がありました。
以前は無かったように思いますが、イラストで分かりやすく描かれているので先へ進む前に確認してもいいかも。
伏見稲荷の境内は稲荷山の大部分を含む約26万坪とされていて、あの甲子園球場の22倍の面積なのだそうです。
「伏」の字に狐があしらわれていてほっこり。
広い境内ですが、さきほどのマップや案内板があるので順路はわかりやすいです。
これも外国人観光客が増えたことで整備されたのでしょうが、日本人にとってもありがたい。
実は別の神社?受験生に人気の東丸神社
本殿の手前には東丸神社(あずままろじんじゃ)がありました。
江戸時代に伏見稲荷の社家に生まれ、国学四大人の一人となった荷田春満(かだのあずままろ)が祀られています。
伏見稲荷と隣接しているので摂社か末社なのかと思いきや、独立した神社なのだそうです。
学問の神様として信仰を集める東丸神社。
このときは12月だったこともあって、受験生やその家族が多く訪れていました。
室町時代に造営された本殿へ参拝
こちらが伏見稲荷大社の本殿!
さすが稲荷神社の総本宮、本殿もとても立派です。
本殿は応仁の乱で一度は焼失したものの、1499年に再建されており、国の重要文化財にもなっています。
多くの人が続々と参拝に訪れていました。
本殿前にはスタッフの方が待機していて、参拝手順を教えてくださるので、神社への参拝に不慣れな人も安心!
ボクは外国人と間違われ、英語で丁寧に教えていただきました(笑)
伏見稲荷の絵馬には鳥居形のものもありました。
朱塗りの幻想的な千本鳥居
広大な境内を持つ伏見稲荷は、本殿の背後にも続いています。
参拝客も続々と流れている方向に進んでいくと……
あの有名な千本鳥居にたどり着きます!
外国人観光客はもちろん、日本人の観光客にとってもここがお目当ての人も多いでしょう。
一大記念撮影スポットになっていました。
さっそく千本鳥居をくぐり始めますが、ずっと先まで行列が続いている……!
朝10時前でこの混雑なので、ゆっくり巡りたい方はもっと早く来るか、遅い時間に来る方がいいかもしれませんね。
ちなみに伏見稲荷の境内は稲荷山まで含めて24時間開放されています。
お守りなどの授与所や茶屋の営業時間は異なるので注意!
このたくさんの鳥居、ほとんどに「奉納」という字が入っていることがわかります。
江戸時代にはこの鳥居を奉納するという信仰スタイルが広まっていたらしく、今では大小合わせて1万基を超える鳥居があるのだそう。
異界にでも続いていそうな不思議な光景。
千本鳥居が途切れたところには伏見稲荷の奥社奉拝所があります。
奥社限定のお守りなどもあり、大変賑わっていました。
こちらで御朱印を頂くと「奥社奉拝所」の文字が入ります。
この時は令和への改元を祝して「奉祝改元」の文字も入れていただけました!
願いが叶う?おもかる石
奥社奉拝所の裏手には何やら行列ができていたので覗いてみると……
「おもかる石」がありました!
ここに2基ある石燈籠の上に乗る宝珠(頭の部分)が「おもかる石」と呼ばれています。
願い事をした上でこの「おもかる石」を持ち上げてみて、自分が思っていたより重いか軽いかを試してみましょう。
軽く感じれば願いが叶い、重く感じれば願いは叶わないとされています。
一種の占いみたいなものですね。
稲荷山の神蹟巡り
奥社からさらに先へと進みますが、鳥居は途切れることなく連なっています。
この辺りから終わりの見えなさに疲れてか、来た道を引き返す人も増えてきますが、ボクはもう少し頑張ってみることに。
稲荷大神が鎮座する稲荷山は標高約233メートルとそれほど大きな山ではないですが、一周は約4kmとされ、所要時間は2時間ほどかかります。
時間、体力と相談しながら登ってみましょう!
若干アップダウンもあるので(稲荷山なので当たり前ですが)、地味に体力・気力が削られていきます……。
左に行くと本殿や稲荷駅に戻れますが、このまま稲荷山に広がる境内へ。
途中で鳥居を修復している場面に出くわしました。
写真で見返すとけっこう真新しい鳥居なので、新しく建てていたのかもしれません。
今でも鳥居が増え続けているのですね!
再び鳥居が途切れた先には、朱色の玉垣に囲われた新池があります。
境内にイノシシが出没するという怖い注意書きが出ていました。
もちろん出くわさないに限りますが、万が一出くわしてしまったら慌てて背を向けないように気を付けましょう!
新池には「谺ケ池(こだまがいけ)」という別称があります。
行方知れずになった人を探す時、池に向かって手を打って、こだまが返ってきた方向に手がかりがつかめるという言い伝えがその由来。
新池のそばでは「竹屋」というお店が営業しています。
竹屋は宝暦7年(1757年)の創業と、さすが京都という感じの歴史あるお茶屋さん。
竹屋では、お店の真向かいにある熊鷹社へのお供え物を販売しながら、イートインスペースで飲み物と甘味を提供しています。
名物の五福餅はあんこをモチモチの生地でくるんだお饅頭で、創業当時からの名物を現代風にアレンジしたものだそうです。
ボクは今回立ち寄りませんでしたが、本殿から登り坂が続くので、ここで一息入れるのも良いかもしれませんね!
竹屋の前の通りはご覧の通り細い路地のような雰囲気。
竹屋の真向かいには熊鷹社(くまたかしゃ)があります。
熊鷹社は熊鷹大伸を祭っている、伏見稲荷大社の末社です。
竹屋ではロウソクを販売しているので、先に竹屋に立ち寄ってから熊鷹社に参拝するのがおすすめ。
ボクが訪れたのは12月中旬でしたが、稲荷山中ではまだ綺麗な紅葉を見ることができました!
陽の光で透かされた紅葉と朱色の鳥居のコントラストが美しい。
熊鷹社を抜けた先の突き当たりは「三ツ辻」と呼ばれ、一ノ峰、山頂へと続く右の道、本殿、駅へと戻る左の道に分かれています。
ボクはこの後の予定も踏まえてここで下山することにしました。
本殿からこの三ツ辻までは往復でおおよそ一時間前後です。
下りの道中では猫をちらほら見かけました。
道中の売店前にも猫。
こちらのお店で飼われているのかな。
賑やかな裏参道にも立ち寄ってみよう
本殿まで戻ってきたら、表参道ではなく、裏参道を通って帰ってみましょう。
ご覧のとおりたくさんの屋台が出て賑わっており、美味しそうな香りが参道に充満していました。
見て楽しむだけでなく、食べて楽しむこともできますね!
京都らしいお団子や……
ボリューム満点の肉巻きおにぎり!
味噌の香りが香ばしい五平餅もありました!
ついあれこれ食べてしまい、すっかり満腹になりました(笑)
今川焼き(京都では大判焼き?)にも狐のマークが入っていてかわいいですね。
この辺りではすずめやうずらを食す文化があるようで、丸焼きを提供しているお店いくつかありました。
諸説あるようですが、もともと伏見稲荷は五穀豊穣の神様だったので、五穀を食べてしまうスズメを見せしめにする、退治するというのがスズメ食の始まりなのだとか。
見た目のインパクトが強烈なのでここでは写真は載せていませんが、丸々一羽をタレに付けて焼いたすずめが出てきます。
勇気と興味がある人は試しに食べてみるのも良いかもしれませんね!
まとめ
伏見稲荷大社は全国30,000の稲荷社の総本宮にふさわしく、荘厳で広大な境内が印象的でした。
有名な「千本鳥居」はもちろん、歴史ある楼門や本殿、不思議な謂われのある「おもかる石」や「谺ケ池」など、見どころがたくさんあり、ゆっくり時間をかけて参詣したい神社です。
外国人観光客にも人気の観光地となっており、いつ行ってもある程度混雑しているとは思いますが、境内は24時間開放されていますので、落ち着いて参詣したい方は午前中早めの時間が良いかもしれません。
注意点としては、神域でもある稲荷山まで巡るのであれば、スニーカーなどの歩きやすい靴を履いてくることですね。
整備されているとはいえ山登りになりますので、安全に気をつけて参詣するようにしましょう!
伏見稲荷大社のまとめ
- ロケーション JR稲荷駅からすぐでアクセス良好
- 一人でも楽しめる? 問題なし!写真を撮りたい場合は困るかも?
- 満足度 見どころの多い京都でも必見の神社!
参拝時間 | 境内終日自由 |
参拝料 | 境内無料 |
アクセス | JR奈良線「稲荷駅」すぐ、京阪本線「伏見稲荷駅」から徒歩約5分 |
公式HP | http://inari.jp/ |
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